2010/09/06 355

. 棟方志功展 .

9月2日、三重県のパラミタミュージアムで棟方志功の肉筆装飾画展が始まりました。
版画家として知られる彼の貴重な絵画、しかもほとんどが未発表の作品ばかりです。
この展覧会、ワクワクドキドキで早速行ってきました。

緑鮮やかな樹林を描いた襖絵。仏像絵の屏風。なんと油絵の衝立。
そうです、これらはすべて個人の邸宅の内装として描かれたものばかり。
京都の書店主の邸から岡田文化財団が譲り受けた作品の展覧会なのです。

棟方は建築内部に多くの肉筆絵を残していますが、ほとんどが個人の邸宅の為、
なかなか一般の目に触れることはありません。
今回の展示品は親しい出版元の内部の作品なので、その保存状態は完璧。
襖は言うに及ばず、壁木に至るまで作品はまるで昨日描かれたように鮮やか。

今回の展示は美術館内に邸の内部を再現。真新しい畳座敷の襖絵の迫力たるや圧巻。
親しい版元の家で思う存分腕をふるった作品が、新しいパトロンの手で鮮やかによみ
がえりました。
閉じ込められていた絵に新たな息吹が吹き込まれた瞬間です。
下絵なしで直接板木に彫るためあえて作品を「版画」ではなく、「板画」と称した棟
方。
版画家のみならず、日本のゴッホを目指した画家棟方が浮かび上がる展覧会です。
開催は10月31日まで。


2010/08/30 354

. セラフィーヌの庭 .

昨日の日曜日、映画「セラフィーヌの庭」を見てきました。
2009年度セザール賞7部門を独占したフランス映画です。
席数100足らずの名古屋芸演小劇場。
映画好きでどの回も満席です。

シネコンでは絶対に上映しないアート系。
名古屋で一軒とはいえ、見ることができるのは幸せなことです。
しかし家内と見終わってからの感想は一言「疲れた」。
実は昨日は映画のはしごをする予定だったのですが、早々に帰宅。
難解な映画を見る体力の衰えを感じた次第です。

ところが夕食ではこの映画について論壇風発です。
主人公は絵を描くことと信仰にのみ支えられた貧しい家政婦です。
それが画商に見出され、絵を描くことに専念、しだいに運命が狂わされていきます。
戦争を挟み、凶荒の嵐に弄ばされついには精神さえ冒されます。
そこにはアートの純粋性と商業主義の葛藤の悲劇が描かれています。
果たして主人公は発見されたことが幸せだったのかどうか。
久しぶりに議論を戦わせることができた「セラフィーヌの庭」。
3DもCGも無縁ですが、やはりフランス映画も捨てたものではありません。


2010/08/23 353

. プラットホーム .

今月の17日から19日まで、「居酒屋産業展」が東京で開催されました。
東京ビッグサイトの会場を埋め尽くすブースはなんと700。
来場者は40000人を数えました。
18日の中日に訪れましたが、入場するまでに30分かかるほどの盛況ぶり。
その熱気に圧倒されました。

酒類、食品は言うに及ばず、ユニフォーム、店舗設計まで。
飲食店経営に関するすべてが勢ぞろいです。
5000円の入場料ですが、試飲、試食を含め、情報量と質でモトは十分取れます。
当社のキンミヤブースもおかげさまで、千客万来。
熱い商談がひっきりなしで行われました。

ビールブースのキャンペーンガールと対照的だったのが、清酒メーカーのコーナー。
年配の男性社員が法被姿でおちょこで試飲を進めるのですが、お客様は素通りです。
清酒業界の不振が象徴されるシーンでした。

戦略でいえばこのイベント、まさに巨大なプラットホームです。
そこに乗っかっただけでは乗客の心はつかめません。
どんな列車に仕立てるのか。プラットホームに立つ出展者の戦略が問われています。

2010/08/17 352

. 民の見えざる手 .

猛暑のお盆休み。恒例の同窓会コンペも出席者半減。
早々に切り上げ、納涼飲み会と相成りました。
結局4連休でゴルフはこの一回のみ。
たまっていた本を読みあさる毎日でした。

大前研一著「民の見えざる手」。彼の新・国富論シリーズの最新刊です。
アダム・スミスの「神の見えざる手」をもじった彼一流のユーモア。
しかし中身は示唆に富む内容で、まさに目から鱗の連続です。

例えば「単身世帯」の増加。2010年では31%が一人暮らしなのです。
これに夫婦2人世帯の20%を加えれば、半数が2人以下世帯。
夫婦と子供2人の茶の間のイメージはもはやマジョリティではないのです。

大家族から核家族。核家族から個へ。
この傾向に、はたして企業はどう対応しているのでしょうか。
ビールは大瓶からカンへ。音楽はステレオセットからi-podへ。
翻って我が業界はどうでしょう。
1.8L瓶から2Lパックへの増量しか考えない清酒業界。4Lの安売り合戦の焼酎
業界。
過去の成功体験から抜け出せない我が業界の稚拙さを思い知らせれ、背筋がゾッとす
る本でもありました。


2010/08/09 351

. シルバーシネマ .

真夏日が続き、いささかバテぎみ。
こんな時はクーラーの効いた部屋か劇場で涼むのが一番です。
というわけで今回は映画のお話。

2008年のアカデミー主演男優賞にノミネートされた「レスラー」。
主演はなつかしや、ミッキ― ロークです。
かっては「ナインハーフ」などの作品で色悪ぶりを発揮したスター。
その後鳴かず飛ばずでしたが、還暦を過ぎ見事よみがえりました。
彼の人生と重なるような、かっての人気レスラーの晩年を演じたこの作品。
衰える肉体を引きずり、ドサまわりのリング上、筋肉でしか自分を表現できない哀し
さ。
不祥事続きの大相撲の力士の行く末が頭をよぎります。

2009年の主演男優賞はジェフ ブリッジス。今劇場公開中の映画「クレージーハー
ト」での受賞です。
こちらは落ち目のカントリー歌手。弟子に追い越され、地方公演の日々。
酒と女に身を持ち崩しながらも、かっての栄光とプライドだけが支えです。
このなかで彼が歌うカントリーソングの渋いこと。歌を聴くだけでもこの映画を見る
価値はあります。
そう言えば出世作「ファビュラス ベーカーボーイズ」ではみごとなピアノを披露し
ていましたっけ。

どちらもストーリーはよくあるものだけに、俳優の出来が全て。
60を過ぎて花開くかれらの演技でこの2本、最近の出色の中高年映画となりまし
た。




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