2015/12/28 627

. 良いお年を .

今年最後の土曜日、今年最後の映画を観にいつもの名画座へ。
「黄金のアディーレ」。オーストリアの画家、クリムトの名画をめぐる物語です。
実はこの絵、私たち夫婦は10数年前にウイーンのベルベデーレ美術館で観ていま
す。
クリムト、エゴンシーレ展が開かれており、傑作「抱擁」など多くの作品をクリム
トファンとして楽しんだ記憶があります。

この絵をめぐり2006年、アメリカ在住のユダヤ人がオーストリア政府に返還訴
訟を起こした実話の映画化。
主人公の老婦人を演ずるのはアカデミー女優、ヘレンミレン。
第二次大戦でナチスに奪われたこの絵は、彼女の叔母 アデーレをモデルにしたも
のでした。
金箔に彩られたオーストリアのモナリザと言われるクリムトの代表作です。

政府相手の勝ち目の薄い裁判に挑む若手弁護士役はライアン レイノルズ。
飄々とした持ち味で好演。ヘレン ミレンと互角の演技です。

戦争の残虐さを一枚の絵を通して描くこの映画。
裁判が終わって主人公が幸せだった家族との生活を回想するシーンに場内はすすり
泣きの声。
今年最後の作品は、終戦70年に当たる年の締めくくりにピッタリの傑作でした。


最後に結末のネタバレを一つ。クリムトの名画「黄金のアディーレ」を見たければ
ニューヨークへ。
もはやウイーンでは見ることはできませんよ。

今年もお付き合いいただきありがとうございました。
皆様にとって来年が良い年でありますように。

2015/12/21 626

. 格付けチェック .

先週、私の所属する四日市西ロータリークラブの年末家族会が開かれました。

いつの間にやら我が夫婦のテーブルは舞台最前列。つまり長老席です。

若い会員が続々入会し、久しぶりに子供の歓声が会場に響く楽しいパーティーになりました。



今回のパーティーの余興の目玉はロータリアン格付けチェック。

指名されたテーブル代表一人が舞台上で数々のチェックを受ける出し物です。

テレビの人気番組「芸能人格付けチェック」のパクリ。

ワイン、牛肉、海老、万古焼、そしてなんと日本酒まで。

A,Bどちらかの二択で本物を答え、間違えると椅子、服装、履物がどんどんみすぼらしくなるという趣向です。

そのテーブル代表に私が指名され、大慌て。間違えるとテーブルの仲間からブーイングは必至です。



食べ物のチェックは目隠しで行われ、これが難問。

松阪肉とオージービーフ。伊勢海老とブラックタイガー。

味覚だけで判別するとなると冷や汗ものです。

視覚が味覚に与える影響を思い知りました。

最後の日本酒は「宮の雪」と灘のカップ酒。間違えたらこれこそシャレになりません。

なんとか海老の一問のみの不正解で並のロータリアンに踏みとどまり、一安心。



後輩が先輩をいじり倒せる何とも和気あいあいの西ロータリークラブ。

老、壮、若が調和し、バランスが取れた団体ならではの楽しい一夜でした。



2015/12/14 625

. モネ展 .

年末の挨拶回り。相手先のキャンセルで2時間の空きが出来ました。
最終日が残り3日に迫った「モネ」展を観に上野の東京都美術館へまっしぐら。
切符こそ待たずに買えましたが、なんと入場に30分待ち。
シルバー割引で1000円とは何ともありがたい制度です。

十数年前、パリのマルモッタン美術館ではじめて観た「印象 日の出」。
残念ながら入れ替えで今回は見れませんでしたが、後期の特別展示「サンラザール
駅」に出会える幸運。
蒸気の温度、湿度が絵から立ち昇るまさにモネのもうひとつの代表作です。
この絵の前で10分も見とれて立ち止まってしまいました。

若きモネの作品から晩年の睡蓮まで、80点を越す圧巻の展覧会。
特に終の棲家となったジヴェルニーでの睡蓮の連作は見ごたえがあります。
穏やかな睡蓮が白内障を患うに連れ、抽象画に見紛う様に変化する様。
オランジェリー美術館の壁画とは違う、狂喜さえ感じる作品です
日本の浮世絵の影響も感じられる構図の妙。
まさに忙中閑あり。
キャンセルされたお客様に感謝したいような冬の暖かい一日でした。

2015/12/07 624

. 酒場番組 .

「吉田類 酒場放浪記」というテレビ番組をご存知ですか?

月曜9時のBS TBSの看板番組で今年の年末は地上波にも登場。

吉田類さんは今や中年のアイドルと言われるほどの人気です。



老舗の酒場にふらりと現れ常連客と談笑し、時には隣客のつまみを強奪。

ほろ酔いで(時には泥酔で)俳句を一句詠んで店を後にするというただそれだけの番組です。



この番組の特徴は訪れる居酒屋が老舗の個店。間違ってもチェーン店は登場しません。

飲む酒の能書き、うんちくもご法度。ただただご常連との楽しい酒盛りが続きます。

飲み代はいたってリーズナブルな店ばかりでそれも人気の秘密。

視聴者はまるでその酒場で一緒に飲んでいる気分。

何ともハッピーな番組なのです



タレントのバラエティ番組の変形として、最近地上波でも酒場訪問番組が放映され始めました。

関係者によれば予算が少なくて済み、本音が引き出せるのが狙いだそうです。

たしかにスタジオでの酔っぱらったタレントのトークは厳禁。

酒場なら大っぴらに放言し放題。脱線すればするほど受けるのだそうです。

しかしこの種の番組飽きられるのも早く、長続きはしないのも特徴。

十年続く「酒場放浪記」には遠く足元にも及びません。



踏み外しそうで外さない吉田類という得難いキャラ。

酒場番組だからこそ、ある種の品格が求められているのかもしれません。



2015/11/30 623

. FOUJITA .

画家藤田嗣治を描いた映画「FOUJITA」。
マニアの集ういつもの名古屋の名画座で満席の中見てきました。
満席と言っても百席足らず。
主演がオダギリジョーのせいか、普段より若い女性客が目立ちます。

小栗康平監督の十年ぶりの日仏合作映画。
藤田のフランス時代と日本帰国後をちょうど半分ずつ描き分けています。
華やかなパリと墨絵のような日本の田舎の風景。
小栗監督の才気溢れる映像が印象に残ります。

半面、その内容は至って難解です。
目立ちたがり屋の藤田のパリ時代の行状はいささか鼻に付きます。
パリでのパーティは日本の花魁道中を模したもの。
望郷の想いの成せる業なのかもしれません。

又日本に戻ってからは戦後議論を巻き起こした問題の戦争画。
これも画家として有名になりたいという藤田の単純な気持ちの発露なのかもしれま
せん。
おもしろいのは、パリ時代の絵は浮世絵のような日本趣味。
戦争画は逆に西洋の歴史画を彷彿とさせます。

戦後、幾多の批判を浴び、二度と日本に帰らなかった藤田嗣治。
映画のラストシーンで詳細に見せるランスの教会の彼の宗教画。
その画面に藤田嗣治自身を発見する時、フランスに帰化した彼の決意と寂寥感を感
じたのは私だけでしょうか。


新しい記事へ 前の記事へ

 

HOME