2014/12/22 577

. 忙中閑あり .

先週、今週は年末のご挨拶やら講演で土日も休みなし。
北海道から東京、京都、大阪と大雪もものともせず日本中を駆け回りました。
昨日は久しぶりの完全オフ。三重県立美術館を家内と訪ねました。

岡田文化財団設立35周年記念のコレクション展。
400点に及ぶ寄贈作品から美術館の顔とも言うべき作品が4つの章に分けて展示されています。

その中でも最初の寄贈作品のシャガールの「枝」はまさに美術館を代表する絵。
1982年に贈られ三重県立美術館の名声を一躍高めました。
その「枝」が掛けられているコーナーにはルノアール、ドガ、モネ等フランス絵画の名作が目白押しです。

日本の近代絵画の章では藤島武二の「大王崎に打ち寄せる波濤」に圧倒されます。
三重県で中学の教員として勤めていた彼ならではの作品。
他には梅原龍三郎の「霧島」等自然と人間のテーマならではの作品が並びます。

二十歳そこそこで夭折した2人の天才、村山槐多と関根正二。
2人の初期のスケッチと詩。青春の初々しさと哀しみが溢れる作品の数々。
散逸を免れた作品群から2人の才気が観るものに迫ります。

三重県ゆかりの章は曾我蕭白と宇田荻邨。
蕭白は三重県の寺院に放浪中の作品が数多く残されています。
また宇田は松阪の出身で代表作「祇園の雨」が展示。
湿度と静寂が絵画から滲み出る私の大好きな作品です。
アメリカに渡ったものを財団が買い戻し、寄贈した名品。

メセナと言う言葉がまだ一般的でなかった時代から文化貢献に力を入れてきた財団。
三重県民として誇りと幸せを感じる久々の休日でありました。

2014/12/15 576

. オーナー .

先日プロ野球のOBと親しくお話をする機会に恵まれました。
今年のドラフトから契約更改とストーブリーグならではの話題です。
彼は最近は断然パリーグの方が面白いと力説。
セリーグファンの私には聞き捨てなりません。

セ、パの球団のはっきりしている違いは何でしょうか。
経営者がオーナーかサラリーマンかの違い。
つまり球団経営の物差しが違うというのです。
確かにソフトバンクは孫社長、楽天のオーナーは三木谷さん。
他の4球団もオリックス、ロッテ等すぐにオーナーの名前が浮かんできます。
大リーグのマー君、ダルビッシュ、日本ハムの大谷など高卒の実力ある選手はほとんどがパリーグ。
じっくり時間をかけ、大きく育てるのがパリーグ流。
一方のセリーグはサラリーマン社長の在任期間中の結果を求め、ドラフトはほとんどが即戦力の大卒か社会人。
短時間に結果の出ない選手は報酬の大幅ダウンで、いずれは使い捨て。
なにやら企業経営の良い例、悪い例を見ている様。

中小企業はわが社も含め、そのほとんどがオーナー経営。
人、モノ、金、情報が企業経営の基本です。
その中で最も難しいのが人育て。
手っ取り早い即戦力の中途採用ばかりでは、企業の未来はありません。
オーナー企業の強みを生かしたロングターム経営。
そんな教訓を教えられたプロ野球談議でした。

2014/12/08 575

. 日本の論点 .

総選挙真っ只中、ただいまビジネス書売り上げbPの「日本の論点」を読みました。
著者は大前研一氏。本の帯のコピー、「ビジネスマンは最低このレベルの知識を持ちなさい!」が刺激的。
25章にわたって、まさに今の日本の課題が網羅されています。

大前氏の著書の特徴は問題提起のみならず、その解決策が具体的に述べられていることです。
学者の書物は総論のみで「じゃあどうすればよいの?」という施策がないものがほとんど。
解決策が示されない問題提起は、読者の不安をいたずらに煽ります。

各章の見出しを見るだけでもセンセーショナルです。
「オリンピックバブルに騙されてはいけない」
「アマゾンの一人勝ちはなぜ起こるのか」
「バブル崩壊前夜の中国とどう付き合うか」等々

的確な問題提起と明快なソルーション。
特に各章の最後に三行にまとめられた結論がこの本の特徴です。
時間の無い方は目次と結論だけでも勉強になります。

私より先にこの本を一晩で一気読みした家内の感想。
「争点のない選挙と言うけど、これだけ論点があるじゃない!」。
この時期にこの本が発売されたのも何かの因縁。
「啓発された市民」にならなければ、この国は変わらないことを実感させられた新刊書でした。

2014/12/01 574

. 6才のボクが、大人になるまで .

何とも不思議な映画です。3時間近くの劇映画ながら、淡々とした物語。
しかも日本全国で10館しかロードショー公開がありません。
中京地区は名古屋の繁華街から離れた港地区の映画館。
嬉しいことに日曜日の午後はほぼ満席です。

この映画、12年間、同じ俳優、スタッフで撮られた家族の物語。
イーサン ホークの父親、パトリシア アークエットの母親と2人の兄妹。
時間の経過がそのまま物語となり、家族の歴史を描くという仕掛けです。
子供は年ごとに大人になる反面、夫婦役の二人はメイクなしでも老けてゆきます。
子供と家族の成長を描いた作品で、同時に時間の残酷さも写し出されます。

12年の物語とそれを取り巻く事件、サブカルチャーも興味深い。
サウンドもシェリル クローからレディガガまで時代とともに変化します。
少年が故郷南部でオバマの選挙応援を手伝うシーンは、リアルタイムならではの迫力。

テレビの「北の国から」も同じような趣向ですが、凝縮感は全くの別物。
監督、スタッフ、キャストの信頼感がひしひしと画面から伝わります。
瞬間、瞬間の積み重ね、それが人生。
いつまでも見続けていたい数少ない映画。
あっという間の3時間でした。見逃された方、是非DVDでご覧ください。

2014/11/25 573

. 健さん .

先週、会議中にスマホで知った高倉健の死。
議事が耳に入らず、出演作品を検索し続け、いつに間にか会議が終わっていまし
た。

学生時代、週末の夜は池袋の人生座で「網走番外地」の5本立てオールナイト。
「健さん、後ろあぶない!」の掛け声から警官が登場すると「官憲帰れ!」の観客
の大合唱。
左翼からノンポリの学生まで画面に一喜一憂。
いつの間にか寝てしまって、一作飛ばしても不思議にストーリーは繋がるという究
極のワンパターン。
出演者は健さんから敵役までほとんど一緒。歌舞伎の様式美のようなヤクザ映画で
した。

全共闘の崩壊後、東映は「仁義なき戦い」に代表される実録ものに転換。
健さんはフリーとなり、作品を選び寡作となります。
男性中心からファン層は広がり、私生活が見えないスターとして神秘性は増すばか
り。
実直で真摯な役回りが本人高倉健と重なり、最後の映画スターとしての地位は不動
のものとなりました。

その後の彼の主演作では共演女優とのシーンが不思議に思い出されます。
「ステーション 駅」での雪の中ホームで別れの敬礼をするいしだあゆみ。
大晦日、居酒屋で見る紅白歌合戦から流れる八代亜紀の舟唄。健さんにもたれ掛か
る倍賞千恵子。
「居酒屋兆二」では健さんに本当に号泣させたと噂のあった大原麗子。

私の大好きな「夜叉」はヤクザ稼業から足を洗ったはずの健さんが、古巣大阪難波
に単身殴り込みに戻るシーン。
田中裕子の「ミナミの男の匂いがする」のしびれるセリフ。
ビートたけしの狂気の演技とラストのアルゼンチンタンゴの旋律。
東映から久しぶりに見た侠客、高倉健の姿でした。
最後の映画「あなたへ」でこの3人が揃うという映画の不思議さ。
昭和がまたひとつ遠くなりました。


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