2017/02/20 688

. 蜜蜂と遠雷 .

今年の直木賞受賞作「蜜蜂と遠雷」を遅ればせながら読破しました。

実はこの本、受賞が決まるずっと前に購入していたのですが、他の本にまぎれ積読本になっておりました。

作者の恩田陸は多くの作品を既に発表している作家。

直木賞候補にも何度も上がっています。

私も相当数、彼女の作品を読みましたが、はっきり言えばイマイチ期待はずれの多
い作家でした。

小説の冒頭から途中までは読み手を引きずり回すほどの力技。

ところが終盤では物語が収束せず、散らかりっぱなし。

アレと思っているうちにジエンド。そんな印象の強い作家でした。



ところがこの作品はプロットが巧妙に練り上げられ、終盤まで息もつかせぬスピード感。

まさに彼女の集大成とも言える壮大な物語です。

特にピアノの演奏を言葉で表現する描写力が秀逸。

まるで音楽が文字と一緒に聞こえてきそうです。

また演奏される曲を物語で表現するなど、音楽の手引書もかくあらんと思えるほど。

コンテスタントの魅力が鮮やかに描き分けられ、思わず応援したくなります。

ピアノコンクールを通して若者が成長する様は青春群像小説としても読み応え十分です。



恩田陸の渾身の代表作。

500ページ2段組という大作ですが、読み始めればアッと言う間。

久しぶりに小説の力を感じることができた至福の二日間でした。





2017/02/13 687

. 植木等 .

植木等をご存知ですか。

そうです。クレージーキャッツの植木等です。

彼は三重県の伊勢市出身。没後10年を迎え、三重県立博物館で「植木等と昭和の時
代」展が開かれています。


クレージーキャッツは昭和を代表するコミックバンド。

ハナ肇、谷啓などメンバーは演奏家としても、当時のジャズ界では花形スター。

風刺に満ちたコントで、昭和のテレビに欠かせないタレント集団でした。


「シャボン玉ホリデー」はそんな彼らの代表作。

植木等の「お呼びでないね。こりゃまた失礼しました」は今も語り継がれるギャグ
の名作。

彼の歌う「スーダラ節」もこの番組から生まれた大ヒット曲です。


C調で無責任、軽やかに時代を駆け抜けたように見える植木等。

実は酒も飲まず、寺の末裔らしく真面目な彼の姿がこの展覧会から浮かんできます。

「スーダラ節」の歌詞に納得できない彼は悩んだ末、寺の住職である父親に相談し
ます。

すると父親は「わかっちゃいるけどやめられない」のフレーズに共感。

人間の煩悩を表し、親鸞の思想に通じると絶賛したそうです。


彼の全盛期は東京五輪で湧く時代。植木等の歌が多くの国民に希望を与えました。

「ライバルは60年代」というCMが流れる今日現在、果たしてあの頃のワクワク感は
あるのでしょうか。

彼のヒットギャグ「そのうちなんとかなるだろう」というフレーズが通用しない暗澹
たる時代で無ければいいのですが、、。


2017/02/06 686

. 口噛み酒 .

先週の土曜日は恒例の「宮の雪日本酒大学」。

県内外から33名の受講生が集まり、会場は私語ひとつない張り詰めた雰囲気です。



私の受け持ちは開講以来続く日本酒の歴史です。

猿が果物を集め、結果として偶然出来た猿酒から始まり、現代の吟醸酒まで。

2000年を1時間で語るというなんとも無謀な授業です。



今年最も興味深く受講生に受け入れられたのは、日本酒の原点とも言える「口噛み酒」。

以前は軽くスルーされた話題でしたが、今年は別です。

昨年から今だに続く大ヒットアニメ映画「君の名は」。

主人公の三葉が生米を噛み造る口噛み酒。

映画の重要なキーワードです。

この作業は古来から神社の巫女の仕事という点でも、このアニメ、考証はしっかり
しています。

米の澱粉を唾液の酵素で糖分に変え、それを酵母でアルコールに。

まさに日本酒の誕生に欠かせないのが「口噛み酒」でした。



舞台となった岐阜県の飛騨地区は今や「君の名は」の聖地。

日本のみならず、海外からの観光客で大賑わいです。

地元の酒蔵では急遽「口噛み酒」ブランドの新製品発売し、売れ行き好調で嬉しい
悲鳴だそうです。

アニメの力恐るべし。

「古き酒を新しい酒袋に」を文字通り体験。こちらが勉強した授業でありました。








2017/01/30 685

. ユナイテッド .

トランプ外交がいよいよスタートしました。

手始めはイギリス メイ首相との首脳会談。

一番乗りを目指した安倍総理の歯ぎしりが聞こえてきそうです。

TPP離脱声明後、イギリスとの二国間貿易協定FTAを結ぶことが予想されます。

どちらも自国第一を選択した両国。波長が合いそうです。



合衆国ならぬ分裂国家DSAとなったアメリカ。

EUからの完全離脱を決めたイギリス。二国間協定の早期締結でTPP参加国に圧力を
掛けるのも狙いです。



UK united kingdomと言われる英国連邦の結束も今や風前の灯。

EU離脱に反対のスコットランド、ウエールズの独立運動が活発化することは必至。

連邦制が崩壊すればこちらもdivided kingdomとなりそうです。



今後の結束が心配される最大のユナイテッドとは。

united nations つまり国連の分裂、無力化です。

アメリカはすでに分担金の圧縮を要求。不払いも辞さぬ覚悟です。

調和とは程遠い国連の現状を見ると、こちらの連合も心もとない限り。

divided nationsの国連となっては、世界の調和など望むべくもありません。

合衆国、連邦、連合。すべて過去の名詞になりそうな先の見えない国際情勢となり
ました。






2017/01/23 684

. 新大統領 .

ついにトランプ大統領誕生です。

選挙期間中と変わらぬ言いたい放題の就任演説。

ドリームならぬ悪夢,ナイトメア。夢なら覚めてほしいものです。



彼の論理は今だに理解不能です。

TPP離脱からNAFTAも見直し。アメリカ一国で経済が成り立つとはとうてい思えません。

アメリカファーストではなく、アメリカオンリー。

インフレは必至で雇用拡大の前に経済は崩壊の危機を迎えそうです。

ドル安誘導かと思えば、強いドルこそ強いアメリカの象徴と言い出す無節操さ。

世界経済は彼のツイッターで当分は振り回されることでしょう。



テスラモーターズのイーロンマスクは彼のお気に入りの経済人の一人。

トヨタ等並み居る自動車メーカーには脅しで迫る一方、電気自動車のテスラは最優先です。

アメリカ国内での製造がほとんどのテスラ。

それもそのはず、ガソリン車と違い、電気自動車は部品の数は100分の1。

海外で製造するメリットはなく、関連の雇用もほとんどありません。

雇用を生まないIT関連業界との蜜月状態はいずれ消滅。

せいぜい人手不足に悩む、アマゾンの輸送に関わる運転手の雇用くらいなのでは、、。



最も傷が深いことはアメリカ国民の分断です。

肌の色、所得、学歴等様々な階層に生まれた深い溝。

もはやUNITED STATE OF AMERICAではなく、DIVIDED STATE OF AMERiCA。

USAではなく、DSAと呼ぶ国に変わってしまいました。





新しい記事へ 前の記事へ

 

HOME